「授業力向上推進重点校」の取組
 

「授業力向上推進重点校」の取組

 
◆ 指定事業名 授業力向上推進重点校(平成28年度〜平成30年度、神奈川県教育委員会)
 
◆ 研究主題 「松陽スタンダード」に基づき、生徒が主体的に学習に取り組む授業の実践及び検証を行うことで、生徒の思考力・判断力・表現力等の一層の向上を図る。
 
◆ 平成28年度の
  取組
○授業力向上推進校内研修会(9月27日)
  ・新しい大学入試の概要と高等学校教育に求められる授業
  ・新しい大学入試の変更点、サンプル問題の解説
○授業力向上に関する研修(9月28日 職員会議)
  ・学校全体の目標、研究テーマ・日程・内容の確認
  ・平成28年度「第一回生徒による授業評価」集計結果確認
○授業見学期間(11月1日〜18日)
○各自の授業のビデオ撮影と自己検証
○公開研究授業・研究協議会(11月18日)
 
◆ 平成29年度の
  取組
○授業力向上推進校内研修会(9月26 日)
  ・授業デザインと協同的な学び
  ・「知識と実践が往還する場」としての授業
○授業力向上に関する研修(9月27 日職員会議)
  ・学校全体の目標、研究テーマ・日程・内容の確認
  ・「第一回生徒による授業評価」集計結果確認
○授業見学期間(11月1日〜17 日)
○各自の授業のビデオ撮影と自己検証
○公開研究授業・研究協議会(11月17 日)
 

 

平成29年度公開研究授業

 
◇ 研究主題 「生徒が主体的に深く学ぶための問いかけを組み込んだ授業の実践」
 
◇ 実施日 平成29年11月17日(金)
 
◇ 実施内容  ○ 公開研究授業 13:25 〜14:20 (55分)
  * 全体テーマおよび各教科でのテーマに沿った内容の授業を展開
  * 授業担当者は、授業開始時に「本日の目標」「問いかけ」を生徒に提示
  * 研究授業に対する「思考力の深まりについての生徒による授業評価」の実施

  (実施科目) 世界史A・数学T・保健・国語総合・数学T・物理基礎・コミュニケーション英語T
  (実施学年) 第1学年

○ 研究協議 14:35〜15:15 (40分)(各教室) 
  * 教科ごとに「研究主題」「本時の目標」「問いかけ」を踏まえた振り返り
  * 「主体的な思考力」等についての評価とともに、授業の工夫や意図が生徒に
     どう伝わり、そこからどのような学びにつながったかなどについて生徒に
     意見を聞くことを中心に協議
  * 授業参観者に加え、受講生徒4名程度も参加する授業に対する質疑応答。

○ 全体研究協議 15:30〜16:20 (50分)(会議室) 
  * 教科別研究協議における成果・課題の報告、質疑応答

 
◇ 成果と課題 
研究授業に対する「思考力の深まりについての生徒による授業評価」で9割以上の生徒が「自分の考えを深めることができた」と回答した。
「生徒が主体的に深く学ぶための問いかけ」について、更に研究を進めていく必要がある。
 

 

 実施クラス・科目
1年1組 1年2組 1年3組 1年4組 1年5組 1年6組 1年7組
世界史A 数学T 保健 国語総合 数学T 物理基礎 コミュニケーション
英語T
 

深く学ぶための問いかけと松陽スタンダード一覧
科目 深く学ぶための問いかけ 松陽スタンダード
国語総合 どのような情報が必要か 論理的な思考力をもとに課題を発見し解決する力
世界史A 戦争裁判は、平和を作ることができたのか  論理的な思考力をもとに課題を発見し解決する力
数学T 三角比を含む二次式の最大・最小ってどう求めるの 論理的な思考力をもとに課題を発見し解決する力
物理基礎 ポンポン船はなぜ、動くのだろう 論理的な思考力をもとに課題を発見し解決する力
保健 欲求が満たされない。その時、あなたはどうする 論理的な思考力をもとに課題を発見し解決する力
コミュニケーション英語T 本文中で印象的だった、または同感した、または疑問を持った部分はどこか 言語活動の基盤となる言葉の力
   

授業内容     >> 研究授業指導案(PDF 508KB) 

国語科:国語総合  どのような情報が必要か
【活動内容】 【主体的思考の手立て】
1. 発表班は、指定された図表等をもとに、3点の考察を発表する 
図表等は、印刷して全員に配布する
2. 他の班は、3点の考察のうち、どれが不適当な考察であるかを議論する
 〈問いかけ〉
@ どれが不適当な考察であるか
A なぜそのように考えたか
B 不適当な考察を正しく根拠づけるためには、どのような情報が必要か
3. 指名された一部の班は、教師による3つの問いかけに答える
(写真)考察を発表する (写真)グループで考える
▲考察を発表する ▲グループで考える
 
地理歴史科:世界史A  戦争裁判は、平和を作ることができたのか
【活動内容】 【主体的思考の手立て】
1. 戦後国際体制が連合国主導で行われたことを復習する
今回議論となる戦争犯罪の概念(「人道に対する罪」「平和に対する罪」)を提示する
2. ワークシートにある罪状をもとに、「戦争犯罪」を実際に裁く体験を行う
4人1班となり、班員の中で議論し、班としての判決を出させ、その後、いくつかの班に判決を発表させる
3. 実際の判例を教師から提示され、戦争裁判・戦争犯罪の難しさを考える
戦争犯罪を当事者たる戦勝国が裁くことの難しさを、生徒の下した判決と、実際に下された判決を比較しながら、班員とともに考えさせる
(写真)各班の意見をまとめる   (写真)全員の意見をまとめる
▲各班の意見をまとめる ▲全員の意見をまとめる
 
数学科:数学T  三角比を含む二次式の最大・最小ってどう求めるの
【活動内容】 【主体的思考の手立て】
1.二次関数の基本知識を復習する 最大値・最小値の変化に気づかせる
2. 三角比を含んだ場合でも、二次関数に帰着させることによって、問題が解けることを認識する
生徒同士で話し合わせることを促し、少しずつヒント等を出していく
3.テスト形式で類題を解く 問題が解けない生徒がいれば、ヒントを与える
(写真)生徒同士で教え合う (写真)生徒同士で教え合う
▲生徒同士で教え合う ▲生徒同士で教え合う
 
理科:物理基礎  ポンポン船はなぜ、動くのだろう
【活動内容】 【主体的思考の手立て】
1.発問
  ポンポン船はなぜ動くのだろう
崖の上のポニョのシーンで、そうすけがポンポン船を動かすシーンのことを話す
2. ポンポン船を実際に動かしてみる
観察を行う
マッチのすり方をもう一度確認する
3. なぜポンポン船が動くのか原理をノートに書く
黒板に用語を書き、生徒がその用語を使ってノートに書けるようにする
(写真)グループで実験する (写真)実験を振り返る
▲グループで実験する ▲実験を振り返る
 
保健体育科:保健  欲求が満たされない。その時、あなたはどうする
【活動内容】 【主体的思考の手立て】
1.ワークシート記入
   現在、自分が抱えている満たされない欲求、その欲求充足の妨げとなっていること、欲求が満たされないことに対しどのように対処しているかを考え記入する
自分自身で抱えている欲求について考えさせる
2.ペアワーク
  現在行っている対処とは別の方法で対処できないかを考える
机間指導し、活発な意見交換ができるよう助言する
3.考えたことを発表する 発表を聞く環境を整える。数名を指名し発表させる
(写真)趣旨を確認する (写真)ペアで話し合う
▲趣旨を確認する ▲ペアで話し合う
 
外国語科:コミュニケーション英語T  本文中で印象的だった、または同感した、または疑問を持った部分はどこか
【活動内容】 【主体的思考の手立て】
1.本時の目標提示
(1) 筆者を支えてきたのは誰の、どんな言葉だったか
(2) 本文中で、印象的だった、または同感した、または疑問を持った部分はどこか
(1)は客観的に答えられるが、⑵は人によって異なることに留意させる
2. ワークシートの問に対する答えを探しながら、1人で時間内に黙読する
分からない部分は、飛ばして読むように指示する
3.発表
(1)について、グループで話し合い、発表する (2)について、グループで話し合い、発表する
どの意見が正しいかを議論するのではなく、個々人の考えを共有する
(写真)グループで話し合う (写真)グループで話し合う
▲グループで話し合う   ▲グループで話し合う
 

 生徒を交えた教科別研究協議会(振り返り) 
         
 
(写真)教科別研究協議会・国語科 (写真)教科別研究協議会・地歴公民科・家庭科 (写真)教科別研究協議会・数学科
▲国語科 ▲地歴公民科・家庭科 ▲数学科
(写真)教科別研究協議会・理科・情報科 (写真)教科別研究協議会・保健体育科 (写真)教科別研究協議会・外国語科
▲理科・情報科 ▲保健体育科 ▲外国語科
 
(生徒の意見)
グループワークの小さい集団だと意見が出しやすい。5人は適当な人数だった。グループワークで異なる意見を聞き、自分の考えと比較することで学びが深まった。(国語総合)
小法廷で戦犯を裁く活動を通し、学びを深めた。グループでの意見のすり合わせが難しかった。(世界史A)
今日の目標があって授業の課題に取り組みやすかった、グループワークで辞書が使えない不安を乗り越えた、自分と他の意見の違いに気づきがあった、知識不足に気づいた、もっと時間を取って読みたいと感じた。(コミュニケーション英語T)
 
(生徒による研究授業評価結果)    >>   生徒による授業評価シートまとめ(PDF 538KB)
今日の授業の「問いかけ」により、自分の考えを深めることができたか?

     全体平均で90%以上の生徒たちが、「考えを深めることができた」と回答

(グラフ)
 
(生徒による研究授業評価結果(記述))  
今日の授業を通して、どのようなことを自分で考えましたか
新しくやった三角方程式と前に習った2次関数を、どうつなぎ合わせるかということを考えた。(数学T)
なぜ船は動くのか、いつもは理由と結果だけしか考えていなかったけど、途中経過のところもきちんと考えることができた。(物理基礎)
自分の欲求を妨げているものは何かを自身と他者の視点から考えることができた。(保健体育)
 

 全体研究協議会    >>   研究協議会報告(PDF 176KB)
 
授業における「問いかけ」は、生徒が主体的に深く学ぶためにうまく作用したか
 
ヒントを少しずつ出して解に導くことは問いかけか。数学の「問いかけ」は、数学の問題を書いただけだった。
大きな問いかけと小さな問いかけ、ゴールとしての問いかけとステップとしての問いかけがある。
授業者が意図したことについて、生徒が主体的に深く考えることができる「問いかけ」であったかを考えたい。
 

 今年度の取組の成果と課題
 
(成果)
授業デザインという観点から、授業に問いかけを組み込むねらい、また、そのための授業・単元づくりについて教員全体の理解を深めることができた。
「生徒が主体的に深く学ぶための問いかけを組み込んだ授業の実践」をテーマに各教科で実践した研究授業において、全体平均で90%以上の生徒が「自分の考えを深めることができた」と実感した。
 
(課題)
問いかけという言葉の定義が多義的だったため、各教科での取組にばらつきが出てしまった。今後は、授業デザインの全体像を捉え直した上で、問いかけの目的・位置づけを明確にする。
すべての教科において、生徒が問いかけによって主体的に深く学ぶことを自覚できたとは言いがたい。今後は、生徒の主体的で深い学びを評価する観点・方法について、一層の研究・開発を進めていく。